冗談ではない!
君は性癖はともかくとして真っ当に人生を送ってきたという自負があるし今後もそ
の予定だ、目の前の非現実的な出来事に対して常識的に対処する訓練など受けていな
い。
当然の結果として君は現場から逃げ出すことを選択した、その判断を誰が責める
ことが出来ようか…だが耳を澄ませて欲しい、何か聞こえないか?
「…うふふふ、敵前逃亡は銃殺ってご存じですかあ?」
「お嬢ちゃん、それは戦中の話だよ」 などというタコ焼屋のおばちゃんの突っ込みも空しく背後から発射された銃弾が君の身体を貫いた、致命的な損傷を受け薄れゆく意識の中で君が最期に見たものは君と同じようにして死を迎えつつある数多くの若者と、新たなカモを見つけて声をかけている『天使』の後ろ姿だった。