「ちょっと、そこの心の貧しいお兄さん。愛はいりませんか?」
この御時勢に随分と物騒な話をするものだと思いつつ君は声に反応した、鈴を鳴らす ような少女の声でなければ顔面に拳を叩き込んだところだろうが。 振り返ればピンク ハウスに身を包んだ『天使』が立っていた、歳は二十を過ぎているだろうがお世辞に も似合うとは思えない。 見てくれは悪くはないだけに、いかにも作り物の翼と蛍光灯 製の天使の輪が浮き立つことこの上無く、何か致命的なものになっている。